『怪獣保護協会』感想



※ネタバレ注意

怪獣保護協会のAmazonページ

アメリカ産の小説、『怪獣保護協会(原題:THE  KAIJU PRESERVATION SOCIETY)』、著:ジョン・スコルジー、訳:内田昌之、ハヤカワ文庫 のレビュー。


もう結論から書くが、翻訳が酷かった。とりあえずこの翻訳者の本は二度と買わない。


あらすじ


一言で書くと、異世界の怪獣たちの保護?をするという話である。
(原題のKAIJUとは文字通り日本語の怪獣を意味し、ゴジラとかガメラのような、人智を越えた超巨大生物を意味する。
怪獣ネタへのリスペクトは凄く、例えば吉田基地が出てくる。特撮ファンならより楽しめるだろう。)


主人公が属する怪獣保護協会は、核分裂や核融合のエネルギーを食べに、並行世界(??)から怪獣が襲撃しに来るので、異世界に直接乗り込み暴れないように保護と監視をしているらしい。


もうめちゃくちゃな設定でツッコミ所満載だが、並行世界(マルチバース)の設定も含めてアメリカらしさ全開である。

しかし、序盤では主人公がコロナ禍で底辺層に転落する様を描いていて、その生々しく胸糞悪いだけの描写には、悪い意味でのアメリカらしさも目立つ。


が、序盤さえ乗り越えれば、そこまでの鬱展開など嘘だったように豪快な怪獣バトルを繰り広げてくれるようになる。
良い意味のアメリカらしさで楽しませてくれるのだ。


並行世界の生物たちは私たちの知る世界とは桁違いの巨大さと生態をしていて、縄張り争いでの殺し合いはまさに災害である。

もちろん虫なども巨大化していて、人類にとっては極めて住みづらい環境となっている。快適な生活への探求も見どころである。

そんな奴らを果たして「保護」できるのか、誰もが抱く当然の疑問を脇にどけて、主人公たちは怪獣相手に死闘を繰り広げる……。


低品質の翻訳


という面白そうなストーリーをぶち壊しにするのが翻訳の質の低さだ。

例えば、


「劇的な音楽」 → ドラマチックなミュージック? 
・「合理的に確信していた」 → 「確信していた」でいいだろ
・「バインダーのページをめくった」 → 「ガイドに目を通した」等の方が明らかに自然
・「物を持ち上げます」 → 頻繁に使われる表現。「肉体労働します」と言いたいらしい
・「それなのに」「それはまた」「それをたいせつに」 → 「それ」がやたらと使われている
・アメリカンジョークらしき意味不明な何かが多数ある
・主人公の女がずっと男言葉で喋る
(これはポリコレ的なアレかもしれないが、ジェンダー云々は置いといても、細部の表現が雑すぎて感情が読みとりづらいのがきつかった。)


等、日本語ネイティブなら一瞬で気付きそうな違和感が大量に放置されている。もちろん、これ以外にも無数に問題点があり、結果異常に読みづらくなってしまっている。

あらすじの所でストーリーのツッコミ所を怪獣の迫力で補っていると書いたが、ここまで翻訳が酷いと流石に補いきれない。税抜1600円の小説のクオリティでは全くない。

Amazonの評価は高いが、こんなものを甘やかしてはいけない。


小説を読んでいて、ストーリー以外で激しい怒りを覚えたのはこれが初めてだ。



AI翻訳を使った?


憶測だが、どうせAIを使って適当に翻訳したのだろう。もし素でこれなら翻訳者は今すぐ廃業した方がいい。軽く手直しぐらいはしているかもしれないが、根本的な酷さは隠しきれていない。

翻訳AIが中途半端に発展してしまったからこその悲劇かもしれない。

他にも納期が短いとか別の問題も重なっていそうだが、もちろん読者としてはそんなこと知ったことではない。翻訳が糞なら全て糞だ。

とても面白そうな題材がこんなくだらない原因で糞と化すのは、怒りを越して悲しみさえ覚える。


これからAIがますます広まるにつれ、このような低品質な翻訳によるクソ小説等はますます増えていくことが予想される。仕方のない事だが、せめて大手出版社ぐらいはしっかりしていてほしいものだ。

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