かわいい仔犬DS 【犬が嫌いになるクソゲー】
『かわいい仔犬DS』のレビュー。発売元はエム・ティー・オーで、同社の犬猫ゲーとしてはGBCとGBAを含め13本目(!)のゲームで、DSの犬猫ゲーとしては一作目になる(お茶犬シリーズを除く)。
駿河屋で見つけて300円で購入してみた所、想定を超えたクソゲーで苦しかったのでレビューを記しておく。プレイ時間は5時間半で環境はNew3DS。本作はストーリーがないエンドレス形式で、エンディングは存在するのかどうかすら不明。一応30日目まで進め、コンテストでは金トロフィーを獲得しておいた。
犬はかわいい、ただし小さく立ち絵もなし
ゲーム開始すぐにプレイヤーキャラの性別と犬種を選ぶことになる。今回は女の子のしおんとウェルシュ・コーギーのルシュで遊ぶことにした。
このゲームはクオータービューでタッチ操作を主にする。タッチ精度は悪くないが、UIが妙に小さいこと、犬が一々呼ばないとついてこないことから、操作感は良くない。ちなみに右下には父と母が映っているが、これ以降、予防接種以外には一切犬のお世話には協力してくれない。なかなかな放任主義の家庭である。
本作のまず第一の問題点として、犬の立ち絵が一切表示されない。マップ上のドット絵しかないのだ。ドット絵ははかわいくパターン数も意外とあるものの、かなり小さいのが問題で、 表情もよく分からないため愛着が湧きづらい。もちろんこのサイズをDSの小さな画面上で凝視し続けることで視力が下がることも請け合いだ。
「しつけ」
本作ではしつけが重要になる。例えば「まて」や「おすわり」をさせられたりする。始めは何もできない犬だが、何度も繰り返し教えていくと段々行動を覚えていく。行動をマスターすると親からご褒美のアイテムがもらえたり、ペットショップで土日に開かれるコンテストで披露したりすることもできる。
またゲットしたアイテムを部屋に飾ったり、カメラで写真を撮って記録したり、日記を書いたりもできる。今回私は一刻も早く終わらせたかったのでそれらの要素は無視したが、子どもなら楽しめるかもしれない。
犬にはコマンドで指示を出せるが、最初のうちは犬が意味を理解できず???となる。何度も繰り返していくと段々成功するようになるのだが、ここですぐに第二の問題点に気づく。
それはコマンドの成功が運と回数で決まっているということ。ミニゲームなどプレイヤーの技術介入の余地が一切ないため、ひたすら同じ行動を連打していればそのうち勝手に犬が覚える。一応各行動後には「ほめる」と「しかる」を選べるが、成功したら「ほめる」、失敗したら「しかる」を選ぶというだけのもの。というか、成功してるのに間違えて「しかる」を選んでしまうと「なかよし」度が一気に下がるので、ただの嫌がらせでしかない。
それだけでもつまらないが、一度覚えた行動を再びする理由がほぼないという仕様で虚無は加速する。覚えた行動をやっても、小さなドット絵が動くのと、ゲーム内時間が15分過ぎること以外には何の意味もない。一応コンテストで披露はできるが、コンテストではどういうわけか「ふせ」を連打するだけで勝てるので、新しい行動を覚えさせる意味すらなくなってくる。
ちなみにうんちの処理も本作は頻繁にやらされる。ペットゲームではよくある要素だが、本作では決まったコマンドを連打すれば終わりの単純作業であることはもちろんのこと、何故かうんちだけ場所を覚えるのが遅いので、何度教えても床にうんこをし続ける犬が次第に嫌いになっていく。
つまらない要素が目白押し
他の嫌な点を挙げていく。まず時間の概念があること。上画面の右上に時間が書かれる。6時半に起床し21時に就寝するまで、イベント以外で自然に時間が進むことはないので、プレイヤーは何か行動を繰り返して時間を消費する必要がある。私は1回辺りゲーム内時間5分のマップ切り替えが最も効率よいと気づき、ひたすら部屋の出入りを繰り返していた。まさに虚無そのものだった。
また、他の要素としてレースを公園ですることができるのだが、難易度が非常に低く設定されており、一発でクリアできてしまう。ただしテンポが非常に悪く、移動時間や待機時間も含めて一走で5分はとられる。なお、これも金トロフィーを取った後はやる意味がなくなる。
後は、家の外のマップ上に押しボタン信号機があり、一回の横断で実時間で10秒程浪費させられたり(車は一台も通っていない)、犬の食事一回辺り1分、一日三食で3分ほどかかったり、たまにかかってくるじいちゃんからの電話が全く意味のないものであったりと、小さなクソ要素が連続でプレイヤーに襲い掛かって来る。
総評: 犬とうんこ
本当に楽しくない虚無作業ゲーだった。同じ行動をひたすら繰り返すだけで終わりで、そのくせ放置はできず操作感も悪いためストレスが非常にたまる。子供向けとしても許すことはできない出来であり、犬の可愛さを加味してもクソゲーと言わざるを得なかった。当時これをやらされた子供たちが非常に不憫だ。 始めにも書いたが、本作はMTO株式会社の犬ゲーとしては13本目で、ドット絵の犬ゲーとしては同社の最終作である。以降はnintendogsの影響もあってか、3Dモデルと触れ合う形式に移行している。これのつまらなさを実感してみると当然の選択ではあると思う。
余談
犬はさんぽに出すと時折オシッコをするが、主人公は「あっ オシッコだあ」と言うだけで特に何もしない。ゲーム内でもマーキングは犬の本能であり許してあげるべきと書かれている。確かに現実でもそんなもんだが、妙にリアルで嫌な仕様だと思った。
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